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Fri.

一命

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一命



監督は、三池崇史、主演に市川海老蔵、共演に瑛太、満島ひかり、役所広司。
非常に、魅力的なキャストですねぇ。


私は、2Dで見ましたが、3D版もありますよ。


1963年に、カンヌ映画祭で、審査員特別賞を獲得した「切腹」という作品があります。
その原作「異聞浪人記」の再映画化です。
あくまでも、リメイクではありません。
原作を、監督と脚本家が考察し直した、三池版の「異聞浪人記」って感じみたい。


「切腹」は見ました。
あの時代に、こんな作品が撮れるもんなのかと、驚きました。
画面から伝わってくる緊張感、そして威圧感みたいなのには、圧倒されました。
映画らしい映画。
映画の醍醐味を、味わえる名作です。


本作を見る前に、ちょっと予備知識。
井伊家の”赤備え”について。
元々、武田の軍勢の精鋭部隊が、赤でそろえた武具で、身を固めていたが、家康が甲斐の国を平定して以降、徳川四天王にも数えられている井伊直政に、家康が、武田軍の家臣たちを付け、直政もこれにあやかり、自分の部隊にそれを取り入れたという。
つまり、井伊家にとって”赤備え”武具とは、先祖の誇りであり、徳川家康と井伊家を結ぶ、象徴的なアイテムでもあった。


本作は、家康が江戸に幕府を開いて、少し経過した頃の話です。


さて、本作の冒頭は
かなり立派な屋敷に、訪れた浪人。
頼みがあるので、お目どおり願いたい、と言う。
頼みとは、屋敷の庭先で、切腹させて欲しいという事だった。
それを聞いた家老は、つぶやく。

「またか…。」



これ以上は、書くのやめとこう。

何にも知らないで観たほうが、面白いと思う。



今回は、三池監督が自分の妙な欲望を、だいぶ抑えた時代劇です。
サスペンス的な要素もありますが、平和な世の中での、武士の存在意義の変化に取り残された武士の物語です。
主君あっての武士。
主君を失った武士は自分の価値に戸惑い現実の厳しさに打ちのめされて、時代に取り残されて行く。
そして……。


演者達は、それぞれすばらしい存在感、そして演技でした。

海老蔵は、深みもあり、殺陣も所作も美しく、”にらみ”も、良かったです。

満島ひかりの、今回の”静”の演技は見ものです。
激しい感情をむき出しにするような役が多かったけど、今回あらためて、彼女の才能を再認識させられました。

そして、瑛太。
全編良かったんですが、特に切腹するシーンは壮絶!
このときの表情は、後にわかる、彼のそこまでの経緯を全て表している。
ホントすばらしい!


さて今回は、だいぶネタバレしちゃいそうなんで、評価を先に書いておきます。


1750円です。


テーマも、演出も、演技も、すばらしかった。
一部「ん…?」てとこもあったんですが、それを補う、力強さがありましたよ。




こっから下は、ネタバレバレのレビューですので、鑑賞後の方以外は、観ちゃだめ!

























私は、原作は読んでいません。
「切腹」と言う映画と、見比べながら、感想を書きます。


もともと、「切腹」は、非常に上質な会話劇でした。
そして、緊張感を保つために、ドラマの途中に、井伊家の庭先に、カメラを戻していました。
本作もその要素はありますが、どちらかというと、ドラマに焦点をあてている印象でした。
今回は、庭先でのシーンを挟まずに、いっきにみせましたね。
だから、緊張感は薄れています。
しかし、津雲半四郎とその家族の存在感は、かなり増しました。


そして、「切腹」は、復讐劇でもありました。
おかげで、最後は、カタルシスを感じることが出来ました。
しかし今回は、若干異なります。
半四郎が、この屋敷に訪れた理由が違います。
今回の半四郎は、全て承知しています。
娘婿である、千々岩求女がとった行動が、いかに認められない、非常識な行動であったのか。
それに対して、井伊家の家老、斎藤勘解由がとった行動が、いかに適切で、妥当であったのか。
また、そうすることしか出来ない世の中であることも。
だからこそ、復讐では意味が無いということも、理解している。
つまり、

あんたたちは、生きていれば良いんだよ!
でも、井伊家のそれぞれの心の中に、しっかり植えつけてやりたい。
時に、面目や体裁が人の命を奪い、その家族達は、地獄を見ているってことを。
人の命が、何よりも大切にされなきゃいけないんじゃないか、ってことを。
そして、本来の武士の存在意義を。

じゃなきゃ、死んでいった家族に、合わせる顔がない。
一刻も早く、自分も死んで、家族の元に行きたい。
そんな気持ちを、グッと抑えつつ、自分、そして家族の生き様を、たたきつけた。
そして最後は、わざと切腹をせず、自分のことを彼らに殺させて、自分の存在も相手の心に刻み込んでやった。

「切腹」では文字通り”切腹”にこだわっているため、求女の父も、そして半四郎も”切腹”で命を終わらせます。
しかし本作では、先ほども書いたとおり、半四郎は井伊家の者に殺され、求女の父は病死します。
「切腹」は最後、半四郎が刀で戦い、数名の命を奪います。
しかし本作では、半四郎は竹光で戦い、もともと誰かの命を奪うつもりなど、全くありません。
つまり「切腹」は”死と過去”を描いているけど、「一命」は文字通り”命と未来”を描いていると、感じました。


親が、子や孫の”死に顔”を見なければいけなかった状況は、辛すぎた。
しかも、あんなに健気にがんばっていた子供たち。
そして、あの残酷な仕打ちに、悲惨な末路。
そんな状況で見つけた、今回の発端。
復讐したい相手も見つけた。

しかし…、

”命”を悟った半四郎は…。


復習劇のカタルシスが薄れようとも、命のドラマは濃くなってます。


私は、こっちのほうも好きですね。



「切腹」は、高度経済成長期に、公開されました。
この物語の舞台は、江戸幕府が出来た直後。
そして、今の日本。

いずれも、新しい価値観が生まれ、戸惑う人々。
そんな中、”あり方”を見いだすことが出来た人、出来なかった人。
出来た人は、そうであることを、とことん守りきる。
出来なかった人は、ただ生きるために生きることしか、出来ない。
つまり、今の世で言う、勝ち組負け組ってことでしょう。

いずれの時代も、社会の不条理が露呈し、その結果が出始めた頃。
人間が人間らしくいることが、すべてではない世の中。
なぜ今頃、再映画化されたのかといえば、今だからということなんでしょうね。



その他にも、細かい演出の違いは、たくさんありました。
原作は、どちらに近いのかはわかりません。
しかし、いずれも、先ほど書いたように、それぞれのテーマに向けた、徹底したこだわりを感じました。




いろんな欲望を、ここまで押さえ込んだ三池監督を、ちょっと見直しました。
しかし3Dは、今回唯一、三池監督の勘違いポイント。
日本家屋の繊細な立体構造を見せるため、などと言っているが、ただ撮ってみたかっただけじゃないか?と、にらんでいます。
3D欲は、止められなかったんだね。(笑)




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